栄養士への第一歩

短大の入学式へ向かう道は、満開の桜がお祝いしてくれているみたい。
今日から、食物栄養科の一年生!

ボランティアに行った老人ホームで、“素敵な栄養士さん”に出会ったことで、私の目標は決まったんです。おじいちゃん、おばあちゃん達に優しく話しかけながら、仕事をテキパキこなすあの姿…私もあんなふうになりたくて、食物栄養科を目指して、勉強してきました。

オリエンテーションで、栄養士になるために、これから2年間、どんな勉強をしていくのか聞きました。う~ん、なるほど…専門の栄養学はもちろんだけど、それだけじゃダメなんですね。とりあえず、これからの栄養士は、IT機器を自由に操れないと。毎日毎日、一年365日の献立を考えて、管理するんですもの…パソコンが出来なくちゃ大変ですよね。

それから、国語能力も必要か…。いろいろと相手に伝えたいことがあっても、上手に表現できなくちゃ伝わらないですものね。そうそう、今時、英語もちゃんとこなさないと。体育もあるんだ!食物栄養科って、白衣きて実験してるイメージだったんだけど…「栄養士は体力!」なんですか?なんだか意外な感じもするんですけど…。考えてみれば、自分が健康で元気じゃないと、栄養指導しても説得力がありませんね。

これからの2年間、しっかり勉強して、目標の“素敵な栄養士”を目指します!

健康を守る栄養指導

栄養指導を行う目的は、健康になるため、体力向上、栄養状態の改善すること、そして、それをずっと長く維持できるように指導する…。なかなか大変そう…。

まず、栄養指導の対象となる人の状態を、しっかりと理解していないと、その状態にピッタリあった的確な指導はできません。対象になる人は、患者さんだったり、子供だったり、お年寄りだったり…。そのために、病態生理学とか、栄養学とか、そういったことも頭に入れておかないと、わかりやすく話せないかもしれません。もちろん、「栄養指導論」を学ぶことは、とても大切なこと。

人と接する栄養士

でも、栄養指導をするということは、「人と接する」ということですから、論理を勉強しただけでは、通じないところが出てくるかもしれません。栄養士と、対象となる人とのコミュニケーションを大切にしないといけないんですね。

考えてみれば、栄養士の仕事は、人と接することが多い仕事ですから、まわりの人たちとのつながりを大切にすれば、いい情報交換もたくさんできそうです。今、さかんに行われている「食育」も、これから先ずっと、健康で元気な生活を送れるように、「良い食習慣」のための、栄養指導。ずっと健康で過ごせるのは幸せなこと…栄養士は“幸せ”のお手伝いもできるみたいです。

基本は大切…料理学と調理実習

「自分で作れもしないものを、献立にのせてはいけません」調理の先生の第一声。

そうなんです、調理の過程を知らないと、献立の組み立ては、むずかしい…。栄養士になって、より良い献立作成をするために、「調理学」を、基本からしっかりとお勉強です。それに、栄養士が、【出張栄養指導】をするときには、自分で作りながら話をする、なんていうこともよく有りますものね。

もともと「調理」というのは、食品を料理に変えることを言うんですね。おいしく、食べやすくするのはもちろんのことだけど、調理の途中におこる化学的変化も、ちゃんと理解しておかなければ…。せっかく手をかけて調理するんだから、その食品の持っている栄養を、一番いい状態で摂れる方法を覚えないと。

国とか文化が違えば、食も違う。時代が変われば、食も変わる…というわけで、そういう文化とか伝統、歴史を学ぶことも、調理学に含まれています。毎日のように新しい調理方法や調理器具が作りだされていますが、伝統とか歴史を見直すのもいいかな…温故知新です!

どんなに体にいいと言われても、その時代や人の嗜好にあっていないと、残念ながら取り入れてはもらえません。そういったところにも敏感にならないと、せっかく作った献立が、受け入れてもらえない、という悲しい結果になってしまうかも。

みんなが健康で過ごせるように…公衆衛生学

WHO(世界保健機構)による公衆衛生の定義は「組織された地域社会の努力を通して疾病を予防し、生命を延長し、身体的・精神的機能の増進をはかる科学であり技術」

なんだか、ものすごくむずかしそうなんですけど…。そこで先生が、わかりやすく説明してくれました。「公衆衛生学は、人の健康を維持したり、増進していくための方法や技術を学ぶことです。健康を害する原因は何か、どうすれば健康を守ることができるのか、どうやって健康を維持していけばいいのか、そして増進できるのか。そういったことを、科学的に考えて実際に役立てていくための学問です。

公衆衛生で取り扱うことは、“地域全体の健康に害を与えるもの”です。よく、マスメディアでとり上げられるので、BSE(狂牛病)、SARS(新型肺炎)、鳥インフルエンザ、アスベスト問題などは、みなさんもご存知ですね。こういったものの他に、生活習慣病の対策や、伝染病の予防、食品衛生についても含まれるので、これからの栄養士には、重要な役割を期待されています。さらに現代では、予防だけにとどまらないで、より良い生活の質(QOL)を求められていますから、みなさんが栄養士として学ぶこと、実践することは、たくさんあります。」

そうすると、社会全体、もしかすると国民全員の健康のために学んでおかなくてはいけないことなんですね。やはり、栄養士の仕事って、やりがいがある仕事なんだと思います。

実験&実習

食物栄養科のカリキュラムは、毎日、何かしらの実験・実習があります…と、言うより、実験・実習ぬきでは考えられないくらいです。調理実習をはじめ、栄養指導実習、臨床栄養実習、食品加工実習、解剖生理学実習。実験は、食品学、食品化学、食品衛生学。最初にプログラムを見たときは「え~っ!こんなに?」って、思ったんですが、実際にやってみると、これがなかなか楽しいし、どれだけ大切なことなのか、よくわかりました。

実習の連続

実験では、私たちがふだん何気なく食べている食品を実験材料に使って、いろいろな分析をします。これで、よりいっそう食への理解が深まるわけですね。それに、だいたいグループ単位での実験ですから、みんなで協力しあって、期待どおりの結果が出たときには、いちだんとウレシイです!

実習は、栄養士として社会に出るための、リハーサルといった感じでしょうか。栄養指導では、勉強した栄養指導論をもとにして、自分で指導方法や資料を作って、それを実際にやってみるんですが…最初は、緊張してしまいました。

でも、回数をかさねて慣れていくたびに、「次はこうしてみよう、もっとわかりやすい方法はないかな、相手に伝えるにはどんな話し方がいいのかな?」いろんなことを考えるようになりました。臨床栄養実習では、「病院の食事は治療の一環」ということを実感しました。病気の基本から原因、予防のためにどういった食事を提供すればいいのか…栄養士って責任のある仕事なんですね。
栄養士として社会に出てから、もっともっと周囲の皆さんに鍛えてもらえると思いますけど、今のうちにしっかりと基本を身につけておこうと思います!

まずはここから…栄養学

≪食のスペシャリスト≫栄養士をめざして、2年間いろいろな勉強をしていくなかで、ずっと基本となっているのが栄養学。栄養学は、食品の成分や栄養素が、人間の体内でどんなふうに作用して、影響しているか、研究する学問のことです。

“栄養士”というからには、“栄養”についての知識は、しっかりと極めたいですよね。それじゃ、あらためて“栄養”ってなぁに?て聞かれたら…“栄養”は、生物が生命を維持するために、必要な物質を体に摂り入れて、これを利用する現象のこと。こんなふうに言うと難しくかんじるけど、私たちが生きていくうえに絶対に必要なことなんです。よりいっそう健康で、元気でいられるように、献立作成とか栄養指導で、お手伝いしていくのが、私たち栄養士のお仕事なんですね。

栄養学をもう少しこまかく分けると、栄養生理学・栄養化学・栄養病理学などに分けられます。ここでもっと詳しく勉強していくんですが、栄養士に必要なのは、食品に含まれる栄養素を化学的に研究したり、病気そのものを理解して、食がどんなふうに影響していくのかを知ることです。
何でもそうですけど、実際の場面に応用しようと思ったら、まず基本を学んでおかないと、いざというときに役立てることはできません。栄養士として、社会で活躍する日を夢見て、しっかりと勉強しよう!